第3回 分子病態学セミナー
タンパク質代謝・オルガネラ異常からみた筋萎縮性側索硬化症の分子病態
運動神経の変性を特徴とする神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の一部は遺伝性に発症する。遺伝性ALSのモデルマウスを用いた研究により、神経細胞とグリア細胞が、本疾患の発症と進行に関与することが判明し、細胞群特異的な分子病態の解明の重要性が示されている。ALSにおける運動神経の変性メカニズムとして、タンパク質代謝異常やオルガネラ異常が知られている。
本講演では、近年特に注目されている、ALSの病理学的特徴であるTDP-43タンパク質の異常蓄積の分子病理と、小胞体・ミトコンドリア間のオルガネラ連関の本疾患への関与について最近の研究データをもとに議論を深めたい。
*山中先生はALS研究の先導者です。名古屋大学環境医学研究所・所長としてご多忙のところ、今回、ご来学の機会を得ました。多数の来聴をお待ちしています。